研究紹介

妊娠期女性における身体活動に関する研究

切迫早産妊婦、就労妊婦など、様々な背景をもつ妊婦さんを対象に、身体活動のメリットや、具体的保健指導のありかたなどを探っています。

妊婦さんの就労形態(専業主婦、就労継続中、就労していたけど休職・退職した)によって、身体活動量や、活動内容が有意に異なることが分かりました。

切迫早産で入院している妊婦さんの、指示された「安静度」と身体活動量が必ずしも一致していないことが分かりました。

身体活動

安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての活動を指し、「運動」つまり体力の維持向上を目的に意図的に行う活動と、「生活活動」つまり日常生活おける仕事・家事・通勤などの活動の2つで構成されます。
ちなみに、20-30代の女性は、ほかの世代の女性と比較し、運動習慣(週2回以上30分以上)のある者の割合が低く約9%です(平成28年国民健康・栄養調査)。

座位行動

情報化社会が進むとともに、人々は一日の大半を座って過ごすようになりました。しかしながら、「座りすぎ」、適度な運動・身体活動を行っていたとしても、肥満や生活習慣病のリスクを高めることがわかってきました。
いかにして「座りすぎ」を減らすかという現代人の課題を解決できる方法を、女性のライフサイクルとあわせて考えています。

妊娠期

女性にとって妊娠期とは、身体的、精神的、社会的に目覚ましく変化のある時期です。親になるための準備期ともいわれています。そのため、行動変容を起こすのにとても動機づけが高い時期ともいわれています。
妊娠を機に、健康的に体を動かす習慣が身につけられるような支援をしていきたいです。

切迫流早産の安静治療

切迫流早産の治療の一つとして、「安静」があります。しかしこの「安静」の効果に対するエビデンスは確立されていません。また、医療施設の医療体制によっても「安静」のレベルが異なります。
「安静」のレベルの統一化や、入院中の活動量、入院中の妊婦さんの心理的・社会的側面への影響など、明らかにすることで入院中であっても、快適に妊娠期を過ごしてほしいと思います。

当分野で取り組んでいる研究課題

切迫早産妊婦、就労妊婦など、様々な背景をもつ妊婦さんを対象に、身体活動量を客観的な方法で測定し、評価することに取り組んでいます。
最近では、妊婦さんの座位行動にも取り組んでいます。

就労妊婦に関する研究について

妊娠期のcomfort研究について

研究成果

  • 妊娠期における身体活動量の縦断的調査-リストバンド型三軸加速度計を用いて-
    川尻舞衣子;2016年度修士論文,(看護学),東北大学
  • 妊婦の日常生活における身体活動の評価
    川尻 舞衣子, 中村 康香, 長坂 桂子, 武石 陽子, 跡上 富美, 吉沢 豊予子:, 日本母性看護学会誌, 17(1), 29-36, 2017
  • 妊婦の身体活動に対する認識と保健指導の実態
    川尻舞衣子,中村康香, 跡上富美, 吉沢豊予子:母性衛生, 57(2) ,475-782, 2016.
  • 就労妊婦の就労日と休日における身体活動量と生活活動パターン
    中村康香, 伊藤直子, 川尻舞衣子, 武石陽子, 跡上富美, 吉沢豊予子: 日本母性看護学会誌, 16(1), 33-40,2016
  • Is there a meaningful level of activity restriction for hospitalized pregnant women?
    Yasuka NAKAMURA, Toyoko YOSHIZAWA, Fumi ATOGAMI, Naoko ITO: A single-case experimental investigation, Bulletin of School of Health Sciences Tohoku University, 24(1), 29-37, 2015
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